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マジで危険! 大学の実験研究で起こりうるアセトンの発火

こんにちは、ヒイラギです。大学で日々(鬼畜な量の)実験をこなしている皆さん、何気ない試薬の危険性について考えたことはありますか?
実験慣れしている方なら、ある程度の試薬・溶媒については、熟知されているので大きな心配はいらないと思います。ですが、油断していると私が所属していた研究室のようにリアルに火を見る結果になりかねません(笑)。今回では、私が実際に経験したアセトン発火事件について、お話ししたいと思います。

  1. 油断するな!アセトンが発火した!?

その日は、いつも通り登校して予定していた実験を行っており夜中の22, 3時頃までかかりましたが、無事にすべての実験が終わりましたので、その後は研究室メンバー全員(8人ほど)で後片付けをしていました。毎日の日課になっており、後片付けも各人が手慣れた手つきで進めていましたので割と早く終えることができました。実験器具もすべて洗い終えましたので、簡単な清掃を済ませて部屋を出ようとしました。しかし次の瞬間、「ぬおっとと!!!」って変な叫び声が聞こえましたので、その方向を確認して見るとある一人の先輩の服が発火し、燃え上がっていきました。いやこれほんとマジでね、冗談じゃなくて本当に炎があがったんですよ。もうボゥっ!!て感じで(笑)で、その後はみんなで慌てて消火活動に勤しんだ結果、大事には至りませんでしたが、その先輩の服(セーター)は燃えて穴が空いてしまいました。さて落ち着いたところで、なぜそんな事が起こってしまったのかと言いますと、実はその先輩、洗い物をしている際にアセトンが服に染み込んでしまったのでドライヤーで乾かそうとしていたんですね。それも使ったのは、かなり古いドライヤー(10年以上は経っている)です。で、ドライヤーの中も古くなっており、中で一瞬火が出たのが運悪くアセトンに移りそれから燃え上がってしまったと言うわけです。

  1. アセトンの性質

本来であれば、多少の火が一瞬出たところで服に燃え移って燃え上がる事なんてないでしょう。しかし、そこに燃えやすいものがあれば話は別です。実は、有機溶媒には引火点・発火点というものが存在します(当たり前ですが...)。念のため、下に簡単な詳細を書いておきます。

引火点:火を近づけた時にソレが燃える温度(自然発火では無いため、火が無い場合は燃えない)。

発火点:ソレそのものが自然発火する温度(火が無くても燃える)。

と、実は私たちはここらへんの事がわかっていなかったんですね(恥ずかしい話ですが)。ちなみにアセトンの引火点は約-20℃、発火点は469℃です。発火点には、なかなか到達しませんが、引火点は室温下でも放っておけば到達しています。なので今回の場合、一瞬ドライヤーの中で燃えた火がアセトンに移って引火してしまい火が燃え上がってしまったんですね。いや本当に怖い...

ということで今回は、実は危険なアセトンの発火について、お話しさせていただきました。皆さんも有機溶媒を扱う際は、くれぐれも気をつけて!

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